換地計画と仮換地の指定の関係を学問的に

換地計画と仮換地の指定の関係を学問的に

はじめて土地区画整理法の条文を読んだとき、私は「にわとりとタマゴはどっちが先なのよ?」と同じ疑問がわき、机上思考が停止してしまった記憶があります。
現場ではイマサラなことですが

 

当時の学習メモをそのまま記録いたします。
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そもそも仮換地の指定は、条文をみると
①「土地の区画形質の変更若しくは公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合」と
②「換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合」となっており、
①と②の間には「又は」の文言が使用されている(98Ⅰ)。

 

そして、講学上は、
A:終局的換地を予定しない一時利用地的仮換地指定処分と、
B:終局的換地を一応予定している換地予定地的仮換地指定処分
の二種類があるとされている。

 

ここで、①=A、②=Bと考えてしまうと、現場で多用されるA換地予定地的仮換地指定は「換地計画」に基づいていないので(この段階では法定手続前の「案」しかないので)無効ではないか、と考えてしまう。

 

というか、そんな記載の本がある。

 

これに関する「仮換地指定処分無効確認(昭和60年12月17日最高裁判所第三小法廷)判決をみると、
「法九八条一項前段の前半所定の「土地の区画形質の変更若しくは公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合」には、事業の規模の大小にかかわらず、また、換地予定地的仮換地の指定処分をするときでも、換地計画に基づくことを要しないものと解するのが相当である。」としている。

 

よくわからないので、もう一声欲しい。

 

「昭和54(行コ)14 仮換地指定処分無効確認請求控訴事件(昭和57年6月9日 大阪高等裁判所)」をみると、
「法九八条一項の文理解釈上は、後段(=条文前段後半)の場合には仮換地指定が行なわれる前に換地計画が定められていることを要するけれども、前段(=条文前段前半)の場合には工事のため必要があれば、換地予定地的仮換地指定処分であると、一時利用地的仮換地指定処分であるとを問わず、仮換地指定処分をすることができ、換地予定地的仮換地処分をする場合でも換地計画に基づくことを要しないと解される。
 けだし、このように解しても、法九八条二項により、仮換地の指定は法に定める換地計画の決定の基準を考慮してなすことが要請されているのであるから、仮換地がそのまま終局的な換地に移行することはむしろ望ましいこととされているともいえるのであるし、最終的には換地処分は換地計画に基づかねばならないので、その段階では土地所有者らに縦覧、意見書提出の機会は保障されているし・・・土地区画整理事業の目的に鑑みても、実務上極めて煩雑な手続を要する換地計画をこの段階で要求することが、土地所有者の利益になるとは限らないと考えられるからである。かく解することは、現実に後段の場合が殆どないことになるが、後記のとおり仮換地指定処分段階では清算金を算定しにくいという事情がある以上やむを得ないものというべきである」。とある。

 

どうやら、講学上の2つの仮換地指定を、条文前段の前半後半に区分して当てはめる、という単純な理解方法はもはやとらないということである。
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感の良い方はすでにお気づきと思いますが、単純な学習ミスです。
要は、この土地区画整理法についての基本書は、他の法に比べて数が少なく、この部分に関する現場の流れについての説明はスルーされることが多いのです。
そして、昔の一部の書籍には、講学上の説明しかない場合があるし、
土地区画整理の流れに関するタイムスケジュール表も、ざっくり見てしまうと、書籍によって異なる?あれれ?
と、はじめて疑問意識を持って、判例について記載されている部分を探してじっくり読む・・そんな遠回りをしてしまった苦い経験です。
これが、民法論ならこのような失敗はないし、失敗してもすぐ気づく機会があるのでしょうが・・・。

幕張本郷 司法書士 こみや司法書士事務所



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