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妻への遺言書に愛を込めるなら・・

自分の亡き後、一人遺された妻のことを想い、遺言書を作ろうって、
すばらしいですね。
この仕事をしていると、何度かそういう感動的な場面があります
資産家が税対策で作る遺言書とは全く違う色合いです。

 

私は、遺言書作成は、手書きの自筆証書遺言ではなく、100%公正証書遺言を推薦しています。
このことは、法務局での遺言保管制度を利用して、検認が不要になるとしても、変わりません。

 

手書きの自筆証書遺言を希望される方は、費用を気にされている。

 

 

費用、例えば、5万円とか10万円ぐらい かかったとします(財産額により異なります)。
これが本当の意味で高いのか?
確かに、作成しようとする方が 今、財布から出す、その場面では高い、そうでしょ。

 

でも、本当に高かったのかどうか、は あなたが亡くなったときにわかると思うのです。

 

 

想像してみましょう。

 

あなたの死後、配偶者を亡くして一人家に遺された妻が、あなたの手書きの遺言を手にして・・・

 

それから どうすると思いますか?

 

あなたの妻は、そのとき自筆証書遺言の検認手続を一人でできますか?

 

(法務局の保管制度を利用しても、揃えるべき戸籍等の証明書はあまりかわりません)

 

妻はバリバリ働いているからなんとかできるだろう?とか、それは勝手な妄想でしょう。
あなたが亡くなる頃、妻は何歳でしょうか?そのとき健康でしょうか?葬儀などで体調崩していませんか?
血圧も上昇してふらふらかもしれません。

 

遺言書の検認には、まず戸籍を何通も集めて、相続人の住所地も調べて、家裁に申立てして、
それから1か月ぐらい何もできずに待たされて、
やっと検認期日がきたら、その手書きの遺言を握りしめて、滅多に顔を合せない他の相続人も一緒に
家庭裁判所まで行って、遺言書を差し出して・・・・

 

どうでしょうか??

 

正直、司法書士兼行政書士をしている私でも、実際に自分がその立場になったら、

 

「あー、なんで公正証書で作成してくれなかったんだろう(怒 」って 夫をうらみます。
そりゃ、何も無いよりはマシかもしれませんが

 

「あなた、手書きの遺言書をありがとう、さすがだわ」とまではいかないかなあ・・・

 

夫が数万円の費用を惜しんだばかりに・・・と友人にグチをこぼすと思います。

 

疲れ果てた妻が、この検認手続までを、我々プロに依頼したとします。
このとき、おそらく、公正証書遺言を作成した場合と同じレベルの手数料がかかると思われます。
結局、費用と心労 色々考えると、負担は同じでは(今、サイフから出すかどうかの違い?)

 

そして、検認を無事クリアしても、その手書きの遺言書がスムーズに使用できる保証はありません。
自筆証書にはそういうリスクがあります。

 

 

だったら、はじめから公正証書遺言にしておけばよかった、

 

手書きの一行遺言だから簡単に書ける、これならミスもないし・・・
そうかもしれません。

 

でも、時間に余裕があるのなら、今一度考えてみてください。

 

それでも 今費用の捻出が難しい、手書きで作りたい、
うちは、遺言書の検認もプロに依頼する金銭的余裕もない、
だから、遺言書は手書きで、検認手続も全部、最後まで自分たちでやります!

 

その場合は、
作成要件、言葉の間違いなど、最後まで気を抜かないでください。

 

戸籍も途中まで集めておいてあげてください。

 

検認申立書も途中まで情報を打ち込んでおいてあげてください。

 

令和2年7月10日施行の法務局遺言保管制度を利用する場合でも、同様に、交付申請に必要なものは、途中までやっておいてあげてください。

 

ここまでやれば、愛のこもった遺言書になるでしょう。
2020.02.14

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