ここは小宮愛子個人ブログです。日々思いつくまま記録しています。 司法書士行政書士事務所サイトはこちらから

コロナ感染による隔離状態での遺言作成

新型コロナウイルスに感染して隔離入院している方が、「今すぐ遺言書を書きたい」と言っていたら・・・

 

「受験生」が思いつくのは、
民法977条「伝染病隔離者の遺言」の条文でしょうか?

 

では、プロはどうでしょうか?
「伝染病隔離者の遺言」って、実際、使えるのでしょうか?
新型コロナが流行しはじめたとき、一瞬、この条文を思い出したのですが・・使うイミがわかりません

 

民法977条
「伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官一人及び証人一人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。」

 

「警察官」って・・・いったい・・。もうこの時点で、令和時代のコロナ隔離問題とは乖離している感じがします。「医師」でもよいと思います。
「筆者」(980条)とあるから、遺言者本人が手書きすることは必須ではないけれど、証人適格と「検認」手続きは必要。

 

となると・・・代筆の部分にメリットがあるのでしょうか???
もちろん、手書きできる状況であれば通常の自筆証書遺言が考えられるけれど、病院隔離でハンコ「印」を持ってきていないと致命的ですねえ
死期が迫っている場合には、民法976条(死亡の危急に迫った者の遺言)を利用することになるのでしょうか。

 

民法983条
「遺言者が普通の方式によって遺言することができるようになった時から6箇月間生存するときは、その効力を生じない」

 

とあるけれど、これは、隔離の場合、その隔離期間が終わって、ということなんでしょうか?隔離期間が終わったけれど重い後遺症で入院している場合とかでも、出張による公正証書遺言作成が可能な状態であれば、半年生存で無効となるわけですよね?

 

いずれにせよ、使いにくい条文のような気がします。
977条(伝染病隔離者の遺言)を経験された士業の方って、どのくらいいらっしゃるんでしょうか?

 

誰もがスマホで容易に映像をとって送信できる現代、ビデオカメラの普及率、そして、公証役場とのテレビ電話による定款認証も可能となった令和時代、

 

公証役場とのテレビ電話による遺言作成も可、となる日はいつくるのでしょうか?

 

いや、あんた、映像はフェイクもあんでしょ、って?いや、いや、それって、手書きする自筆証書遺言も同じ問題は残るでしょう?
いや、あんた、自筆証書遺言は法務局で本人確認しながら保管できるようになったでしょうって?いやいや、それは、別の問題で・・・と独り言が多い今日この頃です。

トップへ戻る