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離婚をする前に

「離婚」といってもいろんなルートがあります。

 

二人だけで話し合う
誰か知人が間に入って話し合う
家庭裁判所で・・・

 

段階に応じて希望をかなえる方法が異なります。

 

 

二人とも同じような安定収入があるし、子供もいないし、特に分ける高価な財産もないし、離婚することは二人で決めた・・・という場合は、問題ありません。
お二人が幸せな新しい人生をスタートできるようお祈りいたします。

 

しかし、
未成年の子がいる、あなたに安定した充分な収入が無い、婚姻生活中に住居を購入したなどの場合、、
離婚届に印鑑を押す前にやるべきことがたくさんあります。

 

「顔も見たくない、離婚届けにハンコさえ押してくれればいいからっ!」というのは、思うだけにとどまりましょう。
どうせ別れるなら、賢く美しく別れる方がいいに決まってます。

 

□親権者が誰ですか(未成年の子がいる場合は決めなければ離婚届は受理されません)
□養育費の支払は具体的にどこにいくらずつ振り込みするか決めましたか?
□婚姻の間二人で築いてきた財産はどのようなものがありますか?それを今後どうするのですか?
 ローンは?あなたは連帯債務者になっていませんか?
□年金分割の合意はしなくてよいのですか?
□相手と子が会う頻度や方法は具体的に決めましたか?
□支払の約束を相手が守らなかったときに備えて・・・・今のうちに・・・等々

 

取り急ぎ離婚届を出しておいて、あとで話し合えばいい、と思っても、離婚後はそれを書面にするどころか、話し合いの機会を設けることも難しくなるでしょう。

 

婚姻費用&養育費

<婚姻費用>

 

夫婦は、法律上その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻費用を分担することになっています。
生活費や子の教育費などをどちらがどのくらい負担するかは夫婦ごとに異なりますが、
およそ自己と同じレベルの生活ができるように考えていきます。

 

例えば、あなたに収入がなく、相手の暴力から逃げるために実家に仮住まいしているような別居中であっても、
相手はあなたの生活費の負担をする必要があると考えられます。
しかし、同居できないやむを得ない事情もない場合に、あなたが勝手に同居を拒んだ場合は、これまで通りの分担請求は困難です。

 

相手が生活費などをいれてくれない、という場合は、家庭裁判所を通じて請求する方法があります。
「婚姻費用分担請求」の「調停」や「審判」を申し立て、そこで決めてもらうのです。
通常、はじめは話し合いとして「調停」申立てをすることが多いのですが、
個々の事情によっては、はじめから「審判」を選んだ方が望ましいケースもあります。

 

 

<養育費>

 

父と子、母と子、これらの親子関係は離婚や後日再婚をしても変わりません。
父母である以上、離婚後の親権者とならなくても、未成熟な子の養育費を支払う義務があります。

 

離婚を話し合う際は、この養育費についても、
「毎月○日までに金○万円を○○銀行○○支店口座番号○○○○口座名義人○○○へ振り込む」
のように具体的に決めるようにしてください。
二人の話し合いがまとまらない場合は、
家庭裁判所へ「子の監護に関する処分(養育費請求)調停」というものを申し立てて、そこで協議するのが一般的です。

 

離婚の話し合いもまとまっていない場合は、離婚の調停と一緒に行うことも可能です。

親権者・監護権者

未成年の子がいる場合、婚姻中は父母が共同の親権者です。
離婚する際には、子の親権者をいずれか一方に決めなければなりません。

 

これを決めずに離婚届を出すことはできません。

 

昔は、家長制度の名残なのか、女は子を追いていく(=親権者は父)となるケースが多かったようですが、

 

現在は状況が逆転しています。

 

離婚調停審判事件のうち母親を親権者としたケースが9割近い年もあります。
このことは父親が不利になった、ということではありません。

 

子の利益を第一に考えて個々の家庭の事情ごとに判断されます。

 

 

ところで、二人の話し合いで、父を親権者、母は監護権者として子供と生活をしていく、というケースもあります。
しかし、親権の中から監護権だけを分離するのは、例外的なものととらえるべきです。
監護権者は親権者とは異なり子の法定代理人ではありません。
離婚調停審判事件のうち、親権者とは別に監護権者を指定したケースは1%も超えません。

 

この場合の監護権者は、親権者とは異なり、子の「代理人」ではないので、
何かあると親権者である父親の協力が必要になります。
協議離婚をした後も父母の関係が良好で面会交流や養育費等においてもなんらトラブルが生じなかった方もいらっしゃいましたが、
それはまれなケースと思われます。

財産分与

財産、ローン、年金分割はどうするか

 

離婚の際は、婚姻中夫婦が協力して築いてきた財産を分けます。
話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てる方法があります(離婚後2年以内)。
調停で話がまとまらない場合には、審判により裁判所が決めてくれます。

 

離婚届にハンコさえ押してくれればよい、と急ぎ、不用意に「離婚後は一切財産的請求をしません。」と念書にハンコを押すのはやめましょう。
後になって「やっぱり欲しい」といっても、特別の事情がない限り、請求するのが難しくなります。

 

分ける財産は、プラスの財産ばかりではありません。住宅ローンなどのマイナスの財産も含まれます。
ちなみに、不動産、預貯金、車のみならず、冷蔵庫、テレビ・・・などの日用品も含めていくと、かなりの数になりますので、
金額の高いものだけ選んで分けることが一般的です。

 

財産分与の対象が、ローンが残っている住宅の場合、売却して清算する方法もありますが、
一方が居住を続ける場合には、一括返済、ローンの支払(抵当権の債務者の変更または借り換え)、名義変更、賃借権、使用貸借契約締結など、
個別の事情ごとに検討をする必要があります。

約束を守ってもらうために

養育費、財産分与、子の面会交流などの事項を決めても、その約束を守ってくれなければ意味がありません。

 

とりわけ養育費の支払いは長期間におよぶので、万一のことを考えて、対策をとっておく必要があります。

 

家庭裁判所の「調停」や「審判」で決めた場合には、
相手が支払を怠った場合には家庭裁判所が相手に対し「勧告」「催告」をしてくれる制度があります。
これはとても簡単な方法でやってもらえます。

 

それでも払ってくれなければ、相手の財産を差し押さえて回収する強制執行の手続をとります。

 

それを考えると、相手の勤務先のみならず取引銀行支店などを忘れないように記録しておくのが効果的でしょう。

 

一方、当初から穏便に二人の間で話がまとまった場合
(だからこそ)
その内容は「公正証書(強制執行認諾約款付)」にしておくことをおすすめします。
これは公証役場で作成します。

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