おすすめの六法とは何か
「おすすめの六法は何ですか?」
受験生がよくする質問です。
私は、受験時代は「六法フェチ」だったので、このお題についてはいくらでも語れます。そして、自信をもって言えます。
既製品の おすすめの六法 は ありえません!!
(追記:私の出したこの答えは、令和時代になっても変更ございません)
以下は、私が失敗しつつ最終的にたどり着いたおすすめ六法について記載しています。
六法を初めて手にしたのは、かれこれ数十年前。
教授が講義で手にしていた「ポケット六法」(有斐閣)です。
彼が手にしていた理由は、
「毎年業者がくれて、たまたまこれがここにあるだけ」という味気ないものでした.。
しかし、大半の学生は
「教授が講義中教壇にいつも置いている」という理由で、初めての六法として「ポケット六法」を選んでいました。
その後、ステップアップとして「有斐閣判例六法」に乗り換える学生もいました。
私は、
判例や主な条文は基本書やテキストに記載されているし、単位がとれりゃいいや・・・というレベルだったので、4年間ずっと「ポケット六法」でした。
ただし、法律を学ぶ若葉マークの学生である以上、毎年六法は買い替えるべき!!という気持ちは当時からありました。
社会人になっても
「ポケット六法」
「有斐閣判例六法」 のいずれかを毎年購入していました。
これらは、見る箇所は限定されていたので、必要なところだけ切り取って使用していました。
自分にとってより良い六法を追求するようになったのは、独学で「司法書士試験」の受験勉強を始めてからです。
「不動産登記法」「商業登記法」などの系統の法令の記載が、「ポケット六法」や「有斐閣判例六法」では不十分だからです。
そこで、「模範六法」(三省堂)を買いました。
が、数日使って、捨てました。
「ポケット六法」に比べると、紙質が悪いので、文字が透ける、蛍光ペンがうまく使用できない、高齢の私には字が小さくて眼が疲れる
要は、私の受験スタイルに向いていない六法だったのです。
六法は、使用する者にとって見やすいものでなければ、地獄です。
仕方なく、「登記六法」(現在は,きんざい)を買いました。
これは、比較的文字が見やすいものです。登記法関係は[登記六法」で妥協しました。
ただ・・民法等が私にはイマイチでした。
私は、当時、民法は、すでに試験対応ができていたので、テキストは買いませんでした。
そうなると、各条文の後ろに記載されている参照条文部分と判例記載が重要となり、
かつ、ラインの引きやすい紙質であるものを求め始めます。
たしかに、参照条文や判例は「登記六法」にもありますが、自分の求めるレベルの記載ではありませんでした。
そこで「判例六法」を買い、必要な部分だけ切り取り製本しました。
結局、いきついた答えは
「おすすめの六法」なんぞ、この世に存在しない!!
ということです。
人によって”使用目的” ”使い方” ”視力” ”資力” ”科目ごとの使用比率” は違う!
とりわけ受験においては、これらが顕著になるからです。
いつまでも「おすすめの六法は何ですか?」と
ネット検索をして貴重な時間を消耗するぐらいなら、
どれか一冊買ってあきらめて基本書重視にするか、
色んな六法からイイことをキリトリして、
自分の「お気に入り六法」をさっさと自作した方が解決が早いのです。
まあ、私レベルまで六法にこだわる必要は無いのですが・・・
不満の無い既製品を見つけるのは難しいということです。
私の場合、受験時代と実務時代では、六法に対する態度が異なります。
<受験時代>
民法は「判例六法」から
刑法・民訴系は「ポケット六法」から
登記系は「登記六法」から・・・それぞれ切り取って、法令ごとに小冊子にして
使っていました。
ちなみに憲法は少し大き目の字で条文だけ印字したものを暗唱用に持ち歩いていました。
他人の3倍コストはかかりますが、ストレスフリーで他人より短期に合格できるのであれば、何の問題もありません。
なお、28年度から「有斐閣判例六法」の活字が小さくなったので、今だったら買わなかったかもしれません。
<実務時代>
「模範六法(三省堂)」
「登記六法(きんざい)」
「And六法Pro」アプリ
これら3つを併用しています。
数年前まで、模範六法のデータ版をPCに入れていましたが、値段のわりに使用度が少ないのでやめました。
実務上使用する六法は、キリトリ製本をしていませんが、重くて扱いにくいので、今でもやりたくなります。
また、平成28年度から、「民法」の部分で、「模範六法(三省堂)」と「有斐閣判例六法Professional」のどちらにしようか迷っています。
「有斐閣判例六法Professional 」は、民法が4段なところと、イザ条文のみを検索しようとするときに親切すぎる判例・判例百選記載が邪魔になる場合もあります。。でも、二冊に分冊されているので、「民法」を見るには、デスクで使いやすいかなあ・・・と。
まあ、たかが司法書士が実務上使うだけなんで、○○受験生よりは精神的な深刻度は低いんですけどね。
・・追記・・・
平成29年度、あの有斐閣さんが、「有斐閣判例六法」の一部の文字を元に戻したという朗報あり。となると、「有斐閣判例六法Professional 」はmy候補から消えた感じ。
・・追記・・・
令和元年と令和2年度は、法改正の関係で、詳細登記六法の他、民法だけのためにポケット六法を買ってキリトリ製本しました。もちろん詳細登記六法にも改正別冊が付いていたのですが、今の私には、民法部分はポケットがストレスがありません。六法へのごだわり(=わがまま?)継続中
いずれにせよ・・・
おすすめの六法は存在しない、ストレスの無い六法は自分で切り貼りして作るしかない、という答えに変更はありません。
六法の使い方は、たとえ同じ試験を受験する者であっても、同じ実務家であっても、各自使い方が異なります。「この六法がお薦めです」と答えられるものではないのです。
ぜひ、みなさまも、自分好みの六法を追求してみてください。
「模範t六法」と「判例六法Professional」の比較記事は
↓ ↓
判例六法Professionalと模範六法の違い
あと六法を扱う際に必要なのは、メクリンです→
条文を検索する際に紙がうまくめくれないというロスタイムは、
条文自体を読む時間よりかなり長い!という悲劇に気づいたからです。
メクリンは今も常用しています。使用しないときはペンにはめています。色違いもあります。